精密機械加工とは?用途や種類、治工具との関係を専門メーカーが解説!

精密機械加工は、現代の製造業において不可欠な技術となっています。自動車、航空宇宙、医療機器、半導体など、多くの産業で活用されており、製品の高機能化や小型化に大きく貢献しています。特に、数ミクロン単位の誤差が製品の性能や安全性に直結する分野では、精密機械加工の重要性が増しています。この加工技術により、高精度かつ高品質な部品の製作が可能となり、製品の信頼性と性能を向上させることができます。

本記事では、精密機械加工の基本知識から、その使用用途や種類、治工具との関係について詳しく解説します。

精密機械加工とはどんな技術?

精密機械加工とは、極めて高い精度で部品や製品を製作する加工技術を指します。通常の加工技術では実現が難しい数ミクロン単位、場合によってはナノメートル単位の精度が求められるため、特殊な機械高度な技術が必要となります。この技術は、自動車、航空機、医療機器、半導体などの多くの産業で欠かせないものです。特に、電子部品や医療機器のように、小型で精密さが求められる製品に対して、精密機械加工は重要な役割を果たしています。

精密機械加工には、非常に高い精度での切削、研削、放電加工、レーザー加工などが含まれ、それぞれの技術が要求される精度や形状に応じて使い分けられます。例えば、切削加工では、工具を使用して金属を精密に削り出し、細かな形状や滑らかな表面を実現します。研削加工では、回転する砥石を使ってさらに微細な表面仕上げを行うことが可能です。これらの加工技術により、金属や合金、樹脂、セラミックといったさまざまな素材に対応できるのも特徴です。

精密機械加工が求められる背景には、製品の高機能化小型化の進展、そして業界全体の品質管理の厳格化があります。高精度な部品は、製品の信頼性や耐久性を高め、性能の向上にも寄与します。例えば、航空機や医療機器の部品では、わずかな誤差が製品の性能安全性に大きな影響を与えることがあるため、非常に高い精度が求められます。このため、製造業では高精度な加工技術が不可欠です。精密機械加工技術は、こうした厳しい要求に応えるため、正確な部品製作と信頼性の確保に大きく貢献しています。

さらに、精密機械加工技術の進歩により、製品の性能が向上し、効率的な製作コスト削減も期待されています。新たな素材や加工方法の開発により、さらなる技術革新が進んでおり、現代の製造業において精密機械加工は極めて重要な役割を果たしています。

精密機械加工の使用用途

精密機械加工は、自動車、航空機、医療機器、半導体など、多くの産業において欠かせない技術です。数ミクロン単位の高精度な部品加工により、製品の信頼性や性能向上に大きく貢献しています。ここでは、代表的な業界ごとに、精密機械加工の具体的な用途を紹介します。

  • 自動車業界

自動車業界では、エンジン部品トランスミッションブレーキシステムなどの主要なコンポーネントに、精密機械加工が不可欠です。これらの部品は、高精度で製作されることで、燃費の向上、排出ガスの削減、走行性能の向上に寄与します。最近では、自動車の電動化に伴い、EV(電気自動車)やハイブリッド車向けの部品にも、精密な加工技術が必要とされています。

  • 建機業界

建設機械業界では、油圧システム駆動部品各種ベアリングなど、耐久性と精度が求められる部品に、精密機械加工が広く使用されています。過酷な環境で使用される建機の部品には、特に高い耐久性と精度が求められ、精密加工によってそれらの要求を満たすことが可能です。

  • 産業機器業界

産業機器では、精密機械加工技術が、製造ライン自動化装置の各種部品製作に使用されています。製造業全体の自動化が進む中、ロボットアームや精密な搬送装置などの部品には、極めて高い精度と耐久性が求められています。

  • 化学機械業界

化学機械業界では、反応容器ポンプバルブなど、耐腐食性が高く、精密な寸法が要求される機器に、精密機械加工が活用されています。これにより、化学薬品の取り扱いにおける安全性や効率性が向上しています。

  • 航空宇宙業界

航空宇宙業界では、軽量でありながら強度が必要な部品に、精密機械加工が不可欠です。たとえば、ジェットエンジンのタービンブレードや航空機の構造部品は、ミクロン単位の精度で加工される必要があり、その結果、航空機の安全性燃費効率が大幅に向上します。

  • 半導体業界

半導体製造においては、極めて高精度な加工技術が必要です。半導体製造装置の部品や、微細なパターンを形成するための治工具には、ナノメートルレベルの精度が要求されており、精密機械加工がその技術的な基盤を支えています。

  • 医療業界

医療業界では、手術用器具インプラントなど、人体に直接使用される製品に対して、極めて高い精度と品質が求められます。特に、インプラントや人工関節、精密な手術器具の製造において、精密機械加工技術は重要な役割を果たしています。

精密機械加工の種類

精密機械加工には、多種多様な加工方法があり、対象となる素材や加工精度に応じて適切な技術が使用されます。これらの加工技術は、ミクロン単位の精度や複雑な形状の加工を可能にし、特に自動車、航空機、医療機器、半導体産業などの高度な製品に対して重要な役割を果たしています。これらの産業では、製品の信頼性や性能を確保するために、精密な機械加工が不可欠です。

各加工技術にはそれぞれの特性があり、金属、樹脂、セラミックなどの素材を高精度で加工するために使い分けられます。切削、研削、放電加工、レーザー加工、超音波加工といった技術は、それぞれ異なる強みを持ち、対象とする素材や加工目的に応じて適切に選択されます。以下に、代表的な精密機械加工の種類を詳しく紹介します。

  • 切削加工
【生産技術のツボ】研削加工の基礎知識|特徴・加工手順は?切削加工との違いは? - アイアール技術者教育研究所様より引用

切削加工は、回転する工具やカッターを使用して材料を削り取り、所定の形状や寸法に仕上げる技術です。主に金属プラスチックを対象に行われ、旋盤やフライス盤、マシニングセンタなどで実施されます。切削加工は、粗加工から仕上げ加工まで対応でき、高精度な寸法を達成できるのが特徴です。特に、複雑な形状や高精度な公差が求められる部品の製造に適しています。

  • 研削加工
生産技術のツボ】切削加工の種類と用語、実務者が知っておくべき理論を解説! - アイアール技術者教育研究所様より引用

研削加工は、砥石や砥粒を用いて材料の表面を研磨し、寸法精度や滑らかな表面仕上げを実現する技術です。切削加工に比べて、より細かい表面仕上げや高精度な寸法制御が可能です。研削加工は、主に金属硬質材料に適用され、平面や円筒形の部品の表面を高精度で仕上げる際に用いられます。

  • 放電加工
放電加工の基礎知識。加工の種類やメリット・デメリットを解説 - 切削工具の専門サイト|さくさくEC様より引用

放電加工は、電極と加工物の間に放電を発生させ、その熱で材料を溶融・蒸発させて削り取る技術です。金属など硬度の高い材料や、切削・研削が困難な形状に対して有効です。放電加工にはワイヤーカット放電加工放電加工(EDM)の2種類があり、それぞれ異なる用途に適しています。特に、複雑な形状や高精度な金型の製造に使用されます。

  • レーザー加工
レーザ加工機の基礎知識。原理や特徴を知って加工の効率化につなげよう - 切削工具の専門サイト|さくさくEC様様より引用

レーザー加工は、高エネルギーのレーザービームを使用して材料を加熱・溶融し、切断、溶接、彫刻を行う技術です。金属プラスチックセラミックなどさまざまな材料に適用でき、複雑な形状や精密なパターンを加工するのに優れています。微細な穴あけや精密な切断、彫刻などに活用され、工業製品や医療機器の製造に幅広く利用されています。

  • 超音波加工

超音波砥粒加工

超音波加工機について - 超音波工業会様より引用

超音波振動研削加工

超音波加工機について - 超音波工業会様より引用

超音波加工は、超音波の振動を利用して工具を高速で振動させ、硬質材料を微細に削る技術です。セラミックガラスダイヤモンドなど、通常の加工が難しい素材に対して効果的です。超音波加工は、難削材や高精度な微細部品の加工に適しており、工業製品の高精度部品製造に広く使用されています。

治工具と精密加工の関係

精密機械加工向け 3Rデルフィンクランプ 写真
精密機械加工向け 3Rデルフィンクランプ

精密機械加工において、治工具は非常に重要な役割を果たします。治工具とは、製品を加工する際に使用される補助具や道具のことで、加工精度を高めるための基盤となります。特に、高精度が求められる精密加工では、治工具の品質や設計が仕上がりの精度に大きく影響します。

  • 治工具の役割

治工具は、主に加工対象の位置決めや固定または加工中のガイド役を果たします。これにより、加工精度が向上し、複雑な形状や寸法公差の厳しい部品でも安定して製作することが可能になります。精密加工においては、わずかな位置ズレでも製品の性能に大きな影響を与えるため、治工具の設計と製作には特に注意が必要です。

  • 治工具と寸法精度の関係

精密機械加工では、寸法精度が非常に重要です。ミクロン単位の加工精度が要求される場合、治工具がしっかりと製品を固定し、確実に加工することが必要です。治工具が適切に設計されていると、加工の一貫性が高まり、仕上がり精度も向上します。治工具の素材や形状は、加工対象の素材や形状に応じて最適化され、加工の品質を左右します。

  • ジグと治工具の関係

ジグとは、特に位置決めや加工の補助を行うための治工具の一種です。精密加工においてジグは、部品を正確に固定し、位置決めするために使われ、特に複雑な形状の加工や繰り返し精度が要求される作業において不可欠です。例えば、ジグボーラーを使用した精密な位置決め加工では、ジグの精度が加工全体の品質を左右します。

  • 治工具の設計と制作

治工具の製作には、高度な設計力製作技術が必要です。特に、特注治工具は特定の製品や用途に合わせて設計され、その製品に対する最適な加工方法を提供します。これにより、加工時間の短縮製造コストの削減が可能となり、製造の効率化が図られます。また、適切に設計された治工具を使用することで、加工の再現性や精度を保ちながら、生産性を高めることができます。

当社は、治工具の製作において75年以上の経験を持ち、豊富なノウハウを基に精度の高い治工具を製作しています。自動車、建設機械、半導体装置、医療機器といった多様な分野に向けて治工具を提供しており、特にジグボーラーを駆使した精密な位置決め加工や特殊な形状の加工に強みを持っています。治工具にはナノメートルレベルの精度が要求される場合もあり、当社では真円度0.05mm以下の高い精度での加工が可能です。また、当社では設計段階からの対応が可能で、コスト削減製品性能向上を目指した提案も行っています。これにより、短納期かつ高品質な治工具を提供することが可能です。

当社所有の設備と技術

精密ジグ中ぐり盤 7CM

当社は、多様な精密機械加工に対応するため、幅広い設備を保有し、高度な技術力を有しています。ジグボーラーは、精密な位置決め加工や仕上げ加工において高い精度を実現しており、真円度0.05mm以下の加工が可能です。これは、複雑な形状や厳しい寸法公差が求められる製品において大きな強みとなっています。

また、当社では各種研削盤を用いて、平面研削、円筒研削、内面研削に対応しています。これにより、滑らかな表面仕上げや高精度な寸法制御が可能です。旋盤やマシニングセンタも豊富に取り揃えており、複雑な回転体部品や多軸加工が必要な部品の製作に対応しています。これにより、さまざまな形状やサイズの部品を高精度で加工できます。

さらに、ワイヤーカット放電加工機を使用することで、難削材や微細なパターンを持つ部品の加工にも対応可能です。ナノメートル単位の精度が要求される部品の製作においても、高い品質を実現しています。品質管理面では、CNC三次元測定機を導入し、加工後の部品の寸法や形状を高精度で検証することで、製品の品質を確保しています。

精密機械加工を用いた当社の製品事例

NC門型平面研削盤 PSG158CH-iQ

当社は、さまざまな産業分野において精密機械加工を活用した製品を製作しています。ここでは、その代表的な事例を紹介します。

1.建機業界向け 油圧クランプ加工治具

材質S50C
サイズ奥行500×横710×高さ615
開発期間・納期の目安開発期間2ヶ月, 加工納期2ヶ月
公差レベル直角度0.02以下

建設機械部品における油圧クランプ加工治具です。

ご要望に合わせた治工具の設計から加工・製作まで、一貫して行いました。

確実な高精度部品の加工と、容易な治具の着脱を実現する設計を、当社から提案させていただいております。これは、当社の強みである治工具設計の豊富なノウハウを活かした製品です。

1.産機メーカー向け 治具ベース

材質SS400焼鈍材
サイズ横 800[mm]× 500[mm]×高さ 45[mm
開発期間・納期の目安板厚平行度0.01, 中心穴Φ100H7との直角度0.01
公差レベル直角度0.01,平行度0.01

産業機械業界において用いられる治具です。

精密機械加工時に利用する治具のベースとなり、このベースの上に精密加工した部品を取り付けることで使用されます。最終的には、シャフト形状のバランス取り加工時に活用されます。

精密加工に利用する治具であるため、公差レベルと板厚平行度を0.01、中心穴Φ100H7に対する直角度を0.01に設定し、精度を確保しています。当社の強みであるジグボーラー加工と研削加工による精密加工により製造を行いました。この高精度な治具は、ガタツキによる特定箇所への負荷集中を防ぎ、長期間にわたって使用することが可能です。

当社はこのほかにも、多数研削加工を含めた製作事例がございますので、お気軽にお問い合わせください。

精密機械加工とは? まとめ

本記事では、精密機械加工の基礎知識からその用途、種類について解説いたしました。

精密機械加工は、現代の製造業において欠かせない技術です。自動車、航空宇宙、医療機器、半導体などの多様な産業で、製品の高機能化や小型化の要求に応えるために必要とされています。これらの産業では、極めて高い精度と品質が求められ、数ミクロン単位の誤差も許されない場合が多くあります。

当社(株式会社大塚製作所)は、75年以上にわたり治工具専門メーカーとして営業してまいりました。ジグボーラーを6台保有し、熟練技術者が多数在籍しているほか、若手技術者への技術伝承もシステム化して取り組むなど、豊富な経験を活かした設計提案から承ります。また、製品加工ももちろん承っており、総合的なものづくりを実現する設備環境は盤石に整えております。治工具の設計製作、精密機械加工に関するお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。