穴加工の種類や金属加工における高精度に仕上げるポイントを紹介

金属の穴加工は、主に部品同士を接合するためのボルトやねじの通し穴や、配管・配線・ノズル等の流体のための通し穴、場合によっては製品の軽量化等のために利用される、重要な加工工程の一つです。また、製品の精度を高めるために、ワーク(加工物)・部品の位置決めや回転軸を設置するために利用されることにもあり、特に、弊社が設計/製作を得意としている治具においては、高精度の位置出しと真円度・内面の表面精度の確保等、極めて重要な工程となります。
日常でよく見かけられる穴加工としては、木材にドリルで穴を開ける、と言ったものがイメージしやすいですが、金属加工の場合は硬度が非常に高いため、人手でかつ小規模な機械を用いて穴を開けるということはあまり現実的な方法ではありません。加えて、穴加工を行う際に生じる切粉と呼ばれる切りくずも、金属となるため、適切な排出方法を設計する必要があるなどの難しさもあります。そして、加工する穴の用途や精度などに応じて、利用する工作機械や工具の選定などの独特なノウハウを要するものとなります。


今回の記事では、治工具設計製作を75年以上専門で行ってきており、ジグボーラーを用いた高精度な穴加工を日々続けている金属加工メーカーの株式会社大塚製作所が、穴加工の種類や工作機械の種類など基礎知識から、高精度な穴加工を行うためのポイントなどを詳細に説明いたします。

はじめに:穴加工とは? ~基礎知識

(引用)はじめの工作機械様(株式会社モノト様) - NCボール盤とは。http://(引用)

穴あけ加工は、切削工具を用いてワーク(加工材料)に円筒形の穴を加工する加工方法の一つです。この記事では金属加工をメインターゲットとして扱いますが、木材や樹脂などあらゆる材質に対して行われる非常にメジャーな加工方法です。穴あけ加工は、部品同士の接合やパイプ等の通し穴の作成、軽量化など用途・役割が非常に多岐に渡り、自動車や航空機、産業機械、電子機器など、さまざまな産業における部品製造に欠かせない工程であり、多くの製品の加工で用いられる加工工程の一つです。

穴あけ加工は、ボール盤や旋盤、マシニングセンタなど、さまざまな工作機械で行うことができます。弊社は、治工具の設計製作を主事業の一つとしており、穴の位置決め精度が非常に高いジグボーラーを多数取り揃え、高精度治具製作に取り組んでいます。治具は金属加工部品のワークを切削加工(加工する金属材料の固定や位置決め)するために用いられ、ワーク加工後製品となります。この為、位置決めのためのピンの取り付けや、他の治具や次工程で効率的かつ精密に設置するための穴を開けるなど、穴あけ加工を行う機会は非常に多く、精度が求められます。もし、ジグボーラーや治工具に関しても知りたい方がいらっしゃいましたら、別の記事で詳しく紹介していますので、下記のボタンから確認してみて下さい。

穴あけ加工に用いる工具としては、ドリルやタップ、リーマといった刃具・工具が使用され、材質や穴を開ける目的・仕様に応じた穴加工を行います。たとえば、ねじ穴の作成にはタップを使用し、軸受用の精密な穴にはリーマを使用。一般的な穴あけにはドリルが選ばれます。この中でも、ドリルを使用する加工が主流であり、「ドリリング」とも呼ばれます。

穴あけ加工は、加工全体の中でも加工頻度が高い工程であり、製作される部品の大半にはねじ穴や位置決め穴、軸受穴といった穴が含まれます。

治具の製作に関する説明の内容とも重複しますが、穴あけ加工の精度や仕上がりは、製品の組み立て精度や性能に直結します。たとえば、ねじ穴は製品同士を固定する際の要となり、位置決め穴は部品の正確な位置関係を決定します。さらに、軸受穴の精密さは回転部品のスムーズな動作や耐久性を支える重要な要素です。そのため、穴あけ加工では、使用する工具や工作機械の選定だけでなく、結合する部品同士における適切な穴位置の設計、そして、加工条件や工程設計を適切に行うことは必要不可欠です。

また、穴あけ加工の分野では、素材の硬度や形状、加工環境に応じた工具の選択や条件の最適化が必要です。特に、難削材と呼ばれる切削加工が難しい材質の加工や、深穴加工、異形状(円形以外)の穴を加工する場合は、特に加工中に熱や振動の発生が強まる場合が多いため、これを制御する高度な技術・ノウハウが必要です。近年ではNC工作機械やCAD/CAMシステムの進化により、複雑な穴加工や大量生産にも対応可能なマシニングセンタなどの技術進展しており、今後もより高度な穴あけ加工技術の進歩も重要となってきます。

このように、穴あけ加工は、シンプルに見える一方で、非常に専門性の高い技術を要する重要な加工方法です。製品の品質や性能を支える基盤となる工程であり、製造業においてその重要性は今後も変わることはありません。

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穴加工の種類

穴加工は、加工対象の素材や目的に応じて多くの手法が存在し、それぞれに特有の利点と用途があります。以下では、代表的な穴加工の種類とその特徴について詳しく解説します。

ドリリング(穴あけ加工)


ドリリングは、最も基本的で広く使われている穴加工方法です。ドリルビット(ドリル加工に使う刃のついた工具)を使用し、材料に円筒形の穴を加工します。主に用いられる工作機械はボール盤やマシニングセンタ、NC旋盤など、多様な工作機械で実施されます。用途としては、ねじ穴や位置決め穴、軸受穴の下穴加工が挙げられます。

ドリリングの利点は、加工のスピードと簡便さです。様々な素材に対応するドリルビットがあり、金属から難削材、プラスチック、木材に至るまで幅広く利用可能です。また、ドリルビットの形状や材質を選択することで、目的に応じた加工が実現できます。

ドリリングでは、切削中の熱や切りくずの排出が重要な課題となります。特に、これは穴加工全体に言えることですが、非貫通の穴加工の場合は、切りくずが穴内部に溜まりやすく、穴加工を断続的に行い適切なタイミングで切粉を排出するなど、適切な排出方法も検討しなければ、加工精度の低下につながります。一方で、貫通穴では貫通部分にバリが発生する場合も多いので注意が必要です。さらに、深穴加工では、工具と材料の摩擦の時間が長くなりがちで熱が発生しやすいため、適切な冷却液(クーラント)の利用や、切粉の排出の工夫、工作機械や加工の方向による振動や触れ・歪みなどへの対策も必要です。上記の注意点をクリアにしない場合は、製品の品質低下につながる事となり、さらに、穴加工に用いる工具の寿命が短くなる恐れもあるので、加工を行う皆さまはよく注意して実施してください。

リーマ加工(仕上げ加工)


(引用)コトバンク様- リーマ

リーマ加工は、すでにあけた穴をさらに高精度に仕上げる加工方法です。ドリルを用いたドリリング(穴をあける加工)で作った穴に対して、「リーマ」という専用工具を使い、以下のような仕上げを行います。したがって、一般にリーマはドリルと異なり、先端形状が尖ってはおらず、穴あけ加工は出来ないが、穴の加工面の精度を高めることができます。リーマ加工の主な役割をまとめると、以下の通りです。:

  1. 穴の形を真円に近づける(真円度の向上)
  2. 穴の内径を正確に整える(寸法の精密化)
  3. 穴の表面を滑らかに仕上げる(表面仕上げ)

この方法は、軸受穴(ベアリングを取り付ける穴)やシャフトの挿入穴など、非常に精密な穴が必要な部品でよく使われます。

ボーリング加工


ボーリング加工は、既存の穴を拡大し、寸法精度や真円度を高めるための加工方法です。したがって、リーマ加工と同様にドリリングによってあらかじめ正確に位置決めが行われた基準穴を作成したのち、ボーリングバーと呼ばれる工具を用い、加工する穴の微細な調整が特徴です。マシニングセンターや専用のボーリング機、ジグボーラー等を使い、大径穴や深穴の加工にも対応出来ます。
場合によっては、ボーリング加工は、金型部品やエンジンのシリンダーボアなど、精密な内径が要求される部品で重要な役割を果たします。加工中に微調整が可能なため、寸法の許容範囲が狭い部品に適しています。

しかし、加工中には振動や熱の発生が課題となるため、工具の剛性や適切な加工条件での作業が必要です。この課題を克服するためには、剛性の高い工作機械や振動を抑える工具の使用が推奨されます。

タップ加工(ねじ加工)


タップ加工は、穴の内側にねじ山を形成する加工方法です。ねじ山を作るタップ工具を使用し、材料に対して規定のねじ形状を削り出します。ねじ部品はほぼすべての産業で必要とされるため、この加工は非常に一般的です。

タップ加工は、小径ねじから大径ねじまで多岐にわたります。タップ加工は手作業でも可能ですが、NC工作機械を使った自動化も進んでおり、大量生産も可能となっています。特に精密な機械部品では、ねじの位置精度と寸法精度が製品の性能を左右するため、慎重な管理が必要です。

タップ加工で注意すべき点は、工具の選定と適切な切削条件です。タップ工具には材質や形状の異なるものが多々あり、加工する材料やねじ規格に応じて選ぶ必要があります。また、切削液を適切に供給し、工具の破損やねじ山の不完全形成を防ぐことが重要です。

深穴加工(深孔加工)


深穴加工は、長さと直径の比率が大きい穴を加工する手法です。穴の直径に対し4倍以上深さの穴をあける作業を指します。深穴加工では、切りくずの排出や冷却、加工の方向によっては振動やたわみに対する対策が大きな課題となります。深穴加工には特化した工作機械が開発されており、ガンドリルやBTA式深穴加工機などの機械を利用することが推奨されます。

主な用途は、自動車エンジンのシャフトや油圧機器、航空機部品などで、非常に高い精度が求められます。加工の際には、切削抵抗が増すため、振動の抑制や冷却液の効果的な活用とと切りくずの効果的除去が必須です。

これらの対策により、加工の安定性を保ち、仕上がり精度を向上させることができます。

特殊形状加工


特殊形状加工は、円筒形以外の穴や、内部に溝や複雑な構造を持つ穴を加工する手法です。四角穴、多角形穴、キー溝付きの穴などが含まれます。このような加工は、汎用工具では対応が困難の為、特殊な形状の工具やNC工作機械での対応が必要です。

特殊形状加工は、高性能化が求められる精密機械や航空宇宙分野で求められるシーンが散見されます。また、これらの加工は、部品結合等に利用する際には、極めて高い技術力と、材料特性や加工条件の詳細な理解が必要です。

また、加工後の検査は最重要であり、専用の測定機器を使った厳密な品質管理が求められます。高い技術と設備を用いることで、特殊形状の加工も高精度で実現します。


穴加工で使用する機械の種類

弊社の保有するジグボーラー(高精度の穴位置決め穴あけ工作機械)

繰り返しになりますが、穴加工で開ける穴の形状や役割は多岐に渡り、穴あけ加工に利用するツール・設備もそれぞれの用途に合わせて多数開発されています。ここでは、穴あけ加工に用いられる工作機械として主だったものを紹介いたします。

ボール盤(英名:ドリルプレス)


ボール盤は、穴加工において古くから用いられている最も基本的な工作機械の一つであり、ドリル工具を使用して、円筒形状の穴加工をする際に頻繁に用いられます。この機械は、主に垂直方向に回転するドリルを送り込む仕組みを持ち、機械の構造がシンプルで扱いやすいメリットがあります。近年では、NC(数値制御)機や後述するマシニングセンタ、NC旋盤(複合加工機)など、より生産性が高く高精度な加工ができる設備も増えていますが、汎用機ながらの職人技による高精度の穴あけ、薄肉のワーク(材料)を用いる際など厳しい条件の加工の際に、より高いパフォーマンスを発揮することも散見されます。

ボール盤の利点として、操作の簡便さが挙げられ、段取り工数が少ない、トラディショナルな設備でもあるため、加工技術を有する方が多いというメリットがあります。したがって、少量生産や試作段階の加工ではコストダウンのメリットの享受に期待ができ、効果的な活用も考えられる設備です。多軸ユニット(工具軸や加工テーブルの傾きが変更可能)を搭載したボール盤も開発されており、一つの設備で複数形状の穴加工に対応できるなど、高い生産性も兼ね備えた設備も存在します。重ねて、設備コストが低いことは大きなメリットで、昨今中小製造業の現場を支えつづけている工作機械の一つです。

ただし、先ほども説明したNCボール盤やマシニングセンタの進歩等、製造業における技術革新は加速度的に進んでおり、高精度な加工を半自動で行えるかつ、多様な工程に対応可能なマシニングセンタやNCボール盤、NC旋盤(複合機)への置換が中長期的に見ても省力化とコストダウンを図れる効果的な施策です。
それでも、汎用機NC機問わず、ボール盤は使いまわしの良さが大きな利点の一つで、柔軟な活用に期待できるため多くの加工現場で欠かせない機械の一つとなっています。

マシニングセンタ


弊社の保有する5軸マシニングセンタ

マシニングセンタは、穴加工を含んだ形状加工など、多種多様な加工を高精度かつ効率的に行える数値制御(NC)工作機械です。マシニングセンタはドリリングやリーマ加工、ボーリング加工、さらには複雑な形状の加工にも対応可能であり、幅広い用途で使用される比較的新しい設備です。操作方法さえ習得してしまえば自動加工や複数工程の合理化や品質の向上など大きなメリットが得られるため、今では多くの製造業に導入され、日本のものづくりを支えています。立型と横型のモデルがあり、加工する部品の形状やサイズ、要求される精度に応じて使い分けられます。

マシニングセンタの最大の特長は、一度のセッティングで複数の加工を一貫して行えることです。工具を自動で切り替えるATC(オールツールチェンジャー)などの機能により、自動運転を行うことで、生産性が大幅に向上します。また、数値制御による高い再現性を保持できます。また、ミクロン単位の精度が求められる加工にも対応可能できるとなってきました。量産職場では品質の均一化も実現可能です。業界としては、部品の高精度加工がより求められるようになっている自動車部品や航空機部品などの精密機械製造において、マシニングセンタは欠かせない存在です。

さらに、最新のマシニングセンタにはIoT対応の機能が搭載されており、CAD/CAMによる3Dデータの有効活用や稼働状況のモニタリング、遠隔でのNCプログラムの実行など多様な効率的な加工が可能です。これにより、加工精度を維持しながら効率的な生産効率を実現します。このように、マシニングセンタは進歩を重ね、高精度・高効率を求める現場において、今後更なる中心的な役割となっていきます。

旋盤(NC旋盤)


旋盤は、上記の2台は工具が回転するフライス加工がメインであることとは対照的に、回転するワーク(材料)に対して固定した工具を送り込むことで穴を加工する工作機械です。特に、回転体の中心に正確な穴を加工する能力に優れており、シャフト部品や円筒形部品など、精密な中心加工が求められる製品に適しています。汎用旋盤と呼ばれる人手加工する機械も存在しますが、NC(数値制御)旋盤が今では主流と言えるでしょう。NC旋盤ではボーリング加工やタップ加工、さらに外径加工や溝入れ加工など多様な作業を行うことができるほか、メインをマシニングセンタとした機種も開発されておりますが、ものによっては工具を回転させるフライス加工まで可能とする複合旋盤(複合加工機)の開発もすでに実現されております。

NC旋盤の利点は、マシニングセンター同様に数値制御による高い精度と安定性です。回転するワークの中心軸に対して正確な加工を行うことで、寸法公差が厳しい部品の製造にも対応可能です。また、自動プログラムに基づいて作業を行うため、大量生産においても一貫した品質を保つことができます。

また、マシニングセンターと同様に立型(立旋盤・ターニングセンタとも呼ばれる)と横型のNC旋盤が開発されておりますが、一般的には旋盤は横型の旋盤を指すことが多いです。立旋盤は、大型のサイズのブラケット(軸受け)やパイプ・フランジ(部品接合用の円形の部品)等に効果的な設備です。なぜなら重量物の加工を横旋盤で行うと回転軸の固定が難しい事や、歪み等加工精度の低下が懸念されるためです。

NC旋盤は業界でいうと、航空機のエンジン部品や自動車のドライブシャフトなど、耐久性と精密性が求められる製品で広く使用されています。また、NC旋盤の進化は日々目まぐるしく、加工中の温度や振動を制御する機能が備わっている機種も存在し、安定した加工品質を維持するための機能が施されています。

さらに、マシニングセンターにも搭載されておりますが、NC旋盤にも自動工具交換機能(ATC:オートツールチェンジャー)が搭載されている機種も多くなりました。複数の加工工程の自動化を実現し、生産効率の向上が図れます。NC旋盤も高い精度と効率性を兼ね備えた工作機械として、現代の製造業において欠かせない存在となっています。

ジグボーラー


弊社が計6台保有するジグボーラーも穴あけ加工で非常に高いパフォーマンスを発揮する工作機械の一つです。別記事でも紹介しているので、ここでは簡単に説明します。ジグボーラーは、穴中心の迅速かつ正確な位置決めを可能とし、非常に高精度な穴あけ・中ぐり加工を行うことができます。前述したマシニングセンタ・NC旋盤と比較すると、より高精度な穴加工が可能な設備です。既にジグボーラーも数値制御による加工が行える機種が主流ではありますが、高精度な加工を実現するためには加工者の経験と技術が重要であり、刃研ぎ・セッティング/段取り・位置決め等を人が目視確認しながら行う作業の為、より高精度の加工に適しています。ジグボーラーも他の機種と同様に精密かつ複雑形状の製品の加工にも利用できますが、人手の為、量産性や再現性は苦手です。

熟練者の手作業の為、生産コストが割高となり、量産よりは単品加工や治工具等の少ロット加工や研究開発・試作品などに用いる工作機械です。

ジグボーラーに関してもっと知りたい方は、以下の記事もぜひご確認ください。

穴加工の工程とポイント

それでは、穴加工の主な工程に関して簡単に説明したいと思います。

1.ワーク(加工対象物・材料)の段取り


まず、加工対象となる素材(ワーク)を工作機械にしっかりと固定する必要があります。これを「段取り」と呼びます。正確にワークを固定できないことには正確な位置への穴あけ加工を行うことはできません。この際に弊社が設計製作を得意としている治工具(バイス・クランプなど)を利用することで、段取りの効率化とワークの固定の安定化を実現します。高品質な治工具の利用と、治工具の定期的なメンテナンスは重要でしょう。
また、ワークの面を水平に保ち、加工精度を上げるために「芯出し」と呼ばれる工程を踏むことも重要です。ダイヤルゲージ(表面の高さやワークのわずかな位置変化を測定するツール)等を活用し、加工設備とワークの位置の座標を正確に一致させます。旋盤による穴加工においては、芯出しの重要性がさらに一段上がるとも言えます。なぜなら、旋盤加工における芯出しは、ワークの回転軸の中心と主軸(工作機械のモーターの回転軸)を一致させる必要があり、主軸と正確に一致する芯出しが行えていないと、寸法精度・真円度・同心度など、あらゆる精度に悪影響を及ぼし、致命的な精度低下となるリスクがあります。またワークの長さと重量に合わせて芯出しへの工夫が求められるため、加工者の技術力とノウハウが必要と言えます。

2.穴の位置決めと基準穴の加工


穴加工の精度を高めるためには、穴の位置を正確に決めることが必要です。穴の正確な位置決めには、すでに何度か記載しておりますが、まずはセンターポンチ(先端が尖った工具)等で、目標の穴位置に印をつけることは効果的な方法の一つです。また、NC工作機械では、プログラムを作成して穴位置を指定することになりますが、CAMや加工時のシミュレーションを行うツールを利用することでより正確な穴位置の決定が行うことが重要です。そして、正確な位置決めを行ったを基準穴として、ドリリング等で粗加工を行います。

3.穴加工の高品質化、本加工の実施


基準穴を最終製品に求められる高精度な穴あけに仕上げるために、リーマ加工ボーリング加工が行われます。これにより、穴加工の高精度な寸法、公差、表面品質を実現できます。弊社では、治具を製造する機会が多く、弊社の強みである豊富なジグボーラー群を用いて加工する場合が多いです。部品加工や治具でも中ロット以上の製作の案件も行う場合には、最新鋭のマシニングセンターも併用することで、生産効率を上げて、お客様にコストメリットを提供できる場合もあります。

穴加工における本加工を行う際の注意点としては、下記が挙げられます。

  • 切削条件を最適に設定し、工具の摩耗を抑える。
    切削速度や送り速度を適切に設定することで、工具の摩耗を抑え、加工精度を維持します。条件が不適だと摩擦熱や負荷が増加し、工具寿命が短くなる事もあり、加工材質や工具特性に合った設定が必要です。また、弊社では超精密加工を実現するために、加工中も断続的に工具の状態をチェックし、必要に応じて、工具の交換や工具を研ぐなどにより、高品質な穴加工を行える条件の維持徹底する事が必要です。
  • 冷却液(クーラント)を適切に使用し、熱変形の低減や切粉の排出を行う。
    冷却液(クーラント)を使用することで、加工中の熱を効率的に排出し、ワークや工具の熱変形を抑えます。冷却液が不足すると、加工面が荒れたり、寸法精度が低下するため、冷却液の供給量や冷却方式を適切に選ぶ行う事が重要です。、切粉の排出時にエアブローを併用することで効果的な対策実施が可能となるため、穴あけ加工においては、重要な要素の一つです。
  • リーマやボーリング工具の選定を加工内容に対して適切な方法で行う
    加工対象(ワーク)の材質や要求精度に応じて、適切な工具を選ぶことは高精度な穴あけ加工を実現するために非常に重要です。例えば、高硬度材には超硬工具が推奨され、寸法精度が重要な場合にはリーマや仕上げ専用工具を使用することで、高品質な加工が可能になります。ボーリング工具においては、刃先部分(チップ)が交換式であるものも存在するため、より柔軟な加工にも対応することもできるでしょう。

4.最終仕上げ/検査/仕上げ加工


弊社が保有する三次元測定機を用いた、加工した穴を検査している際の様子

穴あけ加工について、仕上げ加工まで完了したら、製品の検査を行います。検査結果に応じて、精度確保のための再加工を繰り返すこともあります。

仕上げ加工

  • バリ取り: 加工中に発生したバリ(余分な突起等)をヤスリや専用工具で取り除きます。特に貫通した穴加工を行った場合は、抜け方向に発生することが多いです。
  • 研削加工の実施:製品の要求精度に応じて、さらに表面仕上げを施すために、研削盤等を用いた仕上げ加工を行うこともございます。弊社は、治工具の製作に特化して生産設備の拡充を図ってきたため、豊富かつバラエティにも富んだ研削盤を取り揃えており、マシニングセンタ・NC旋盤・ジグボーラーだけを用いた場合よりも一段上の表面仕上げが可能です。弊社の保有設備に関しては、下記の保有設備一覧もご覧ください。

検査

  • 内径の測定: 穴の内径・表面の精度が設計通りか確認します。弊社は多数の計測器を用いた測定に加え、最新鋭の三次元測定機(上記写真)を用いて、専任の検査員によって検査を行っています。
  • 真円度の確認: 穴の形状が真円に近いかどうかを検査します。特に治具の製作では非常に高い精度を要求されることが多いです。真円度が不十分の場合、組立時やクランプの嵌合時の不具合などにつながる為です。弊社は内面研削盤や円筒研削盤を保有し、熟練の技術により高い真円度での製造実績も多く、三次元測定機の検査も並行し、細心の深注意で生産を行っております。

穴あけ加工を用いた弊社の製品事例

弊社が製造し建機業界向け特殊治具の画像

最後に、実際に弊社の製品事例から特に穴あけ加工の重要性が高かった製品をいくつか紹介いたします。上記の写真のような複数の穴かつ異形状(真円以外)の穴あけ加工も高精度に実現し、メーカーであるお客様の部品製造の高品質化に寄与しています。

事例1.建機メーカー向け油圧クランプ治具


材質S50C
サイズ500×500×700[mm]
開発期間・納期の目安設計から組立まで3カ月
公差レベル穴ピッチ・平坦度/平行度±0.02

建機業界のメーカー様で部品加工に利用される油圧クランプ治具となります。

精密部品の加工に利用される為、公差レベルは非常に高い要求値が求められます。
また、部品加工(ワーク)の重要な公差の一つとして穴ピッチ(穴と穴の中心の距離)に±0.02[mm]以内の誤差に収まるよう求められたため、ジグボーラーを活用した高い位置決めと、検査・仕上げ加工を繰り返して作り上げた精密機械加工品です。

事例2.航空業界向け5軸マシニングセンタ用ブレード加工治具


材質S45C
サイズφ450×200[mm]
開発期間・納期の目安1.5カ月
公差レベル穴ピッチ・平坦度・平行度±0.01以内

航空部品のブレードを製造するメーカー様でブレードを製造するためにに利用される加工用治具となります。

人命に関わる為、安全性が強く求められる航空機のブレード部品を製造するために利用される治具となるため、表の公差レベルを見て頂いてもわかるように、最高レベルの精度で仕上げた製品です。
最終製品の形状と加工工程の設計内容に合わせて、治具の設計から溶接、リン酸マンガン処理、精密機械加工、研磨加工、ジグボーラーによる精密位置決めによる穴加工まで、一貫生産にて治具製作対応を行いました。


まとめ

今回は穴加工の種類や金属加工における加工方法・設備、そして、加工時のポイントなどを説明しました。構造物では、ねじやボルト、釘などを用いた部品同士の結合のための穴。そして、金属加工による部品製作においては、高品質な製品を作るために用いるための固定用のピンの穴加工など、穴加工は製造業において高頻度に行われ、かつ重要な役割を持っています。
したがって、正確な位置決めや、その穴の要求仕様や役割を担保する穴加工を行うためには、ダイヤルゲージ等を用いた段取り、検査や補正と、ワークや工具や材質への理解など、深い知識が求められるのです。

本サイトを運営する大塚製作所では、治工具の設計・製作の75年以上経験があり、厳しい穴ピッチの公差や真円度、同心度などを求められた精密機械加工を要する治具の製作実績を多数保有しております。本記事をお読みになられている方で、精密な穴あけが必要で困っている、特殊材料で、穴あけに対応できるノウハウがない...など、お困りごとをお持ちであれば、弊社がご支援できる場合もございますので、技術的なご相談から是非お気軽に弊社までお問い合わせください。

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