医療機器の部品製作・受託製造(OEM)について、メリットや注意点を解説

医療機器は技術革新の波を受けながら成長を続けており、近年では更なる発展に向けて、理学や工学など幅広い異分野の専門技術を取り入れることを主題に、受託製造(OEM)や受託開発(ODM)の重要性に注目が集まっています。もちろん、受託製造によるメリットは他分野技術の取り込みだけには収まらず、幅広い効果を生み出します。本記事では、医療機器の部品製作の外注、受託製造(OEM)に関するメリットや、パートナー選定時の注意点などをわかりやすく解説いたします。また、検査装置の精密機械部品製作実績を有する弊社から、弊社の強みである金属の精密機械加工に関して、重要性や提供可能な付加価値などを紹介し、お客様のより良い選択をサポートできればと考えています。

医療機器の受託製造(OEM)、医療機器部品外注のメリット

医療機器開発・製造における医療機器の受託製造(OEM)や医療機器部品製作のメリットは以下のようなものが挙げられます。

最新技術と専門知識の活用

医療機器の開発において、OEMや製造の外注を行うことは製品の品質や技術水準の向上につながります。受託先は自社に無い、自社では対応できない高度な専門技術や最新の製造方法を持っている場合があり、提案内容を製品にフィードバックすることで製品の技術水準の向上が図れます。例として、金属加工メーカーでは金属の専門知識や製造のノウハウを有するため、品質向上は前提に製造のコストダウン・納期短縮までを実現する素材の選定や機構の設計への提案が可能です。
医療機器は人間と密接に関わる製品であるため、医療の専門性が最重要であることは大前提となりますが、技術革新の波を受け最新技術の活用などの動きが活発な医療機器の開発においては、競争力の高い製品を開発するためには高い技術水準と品質が重要となり、イノベーションも求められます。この時、製品開発において多角的な視点を導入することはイノベーションの創生を促進するなど重要性は広く認識されています。OEMや外注を依頼する際に適切なパートナー関係を構築することで、異分野の技術者の視点の意見を取り入れることができることは、大きなメリットの1つであると言えます。

コストの削減とリソースの最適化

医療機器メーカーにとって、OEMや部品製作を外注することは大きなコスト削減とリソースの最適化に繋がります。委託先の生産設備や製造ノウハウを活用することで、自社での設備投資や人員の確保、設計コストを大幅に削減することが可能です。また、委託先が材料の調達ルートや協力工場など関係するネットワークを構築できている場合には、材料費など含めた製造コストに加え、一貫生産が依頼できる場合には管理コストまで大幅に抑えることが可能です。
これにより、医療機器メーカーでは限られた人員/リソースを、製品の研究開発やマーケティング・市場拡大等付加価値の高い業務に割り当てることが可能となり、製品・企業の競争力を高めることができます。


医療機器の受託製造(OEM)、医療機器部品の外注を行う際の流れと注意点

医療機器のOEM(受託製造)や部品外注には、信頼性の担保に向けて品質保証や高い技術力などが求められます。以下で、医療機器及び関連部品の製造の委託・発注の際の流れや、注意すべきポイントについて解説します。

医療機器のOEM、医療機器部品の外注の流れ

メーカー同士での初期相談

製品の仕様や要件など技術的な内容から、納期、予算に関する詳細な打合せを行い、合意が取れれば契約を締結します。

STEP
1

製品の設計と開発、試作製作

医療機器メーカーから提供された設計仕様に合わせた試作開発を行います。試作のテストを行い、評価結果から必要に応じて設計の変更や改良を行い、最終的な製品設計が確定します。

STEP
2

生産体制の構築と、製品製造

受託メーカーにて、生産ラインの設定、材料調達、生産計画の策定を行います。医療関係で最も重要な品質保証に向けて、製造工程全体にわたって厳格な品質管理も行います。不良品の発生は最小限に抑えることはもちろんのこと、不良発生時を想定したトレーサビリティの確保も行います。

STEP
3

最終検査

OEMでは、受託メーカーにて最終検査を行います。双方で合意が得られる検査項目の洗い出し、研鑽を行い、厳格な品質管理を構築します。

STEP
4

納品とアフターサポート

受託メーカーから医療機器メーカーへ納品を行い、受託メーカーも主体的にアフターサポートを行います。

STEP
5

定期的なフィードバック・改善

製品の改良や新しいニーズへの対応を進めます。

STEP
6

メーカー同士での初期相談

製品の仕様や要件など技術的な内容から、納期、予算に関する詳細な打合せを行い、合意が取れれば契約を締結します。

STEP
1

見積もりと発注

サプライヤー(外注先メーカー)は要件に基づいて見積もりを行います。内容に合意できれば、正式な発注となります。

STEP
2

設計と試作開発

部品の外注の場合においても、必要に応じてサプライヤーは部品の設計支援を行い、試作品を製作します。この段階で医療機器メーカーの試作評価による設計の変更や改良を行う場合もございます。

STEP
3

生産体制の構築と、製品製造

サプライヤーで生産・量産に向けた準備として、生産ラインの構築や材料調達、生産計画の策定を行います。品質管理に向けた体制の確保はOEM同様、入念に行います。

STEP
4

検査と納品

製造が完了した部品はサプライヤーで仕様に応じた検査が行われ、さらに、医療機器メーカーが求める品質基準を満たしているかどうかの最終検査を医療機器メーカーから受け、合格した製品が検収されます。

STEP
5

受託製造(OEM)、部品外注の流れには共通点が多いですが、特に全体的な責任の範囲が異なります。OEMでは製品全体の製造、部品の組み立て、品質管理までの全プロセスを受託メーカーが担当します。一方、部品外注は製品の中で特定の部品のみをサプライヤーが製造し、医療機器メーカーが最終製品の組み立てや全体の品質管理を行います。したがって、品質保証の観点では、OEMでは受託メーカーが全体の品質を保証、部品外注では最終製品の品質保証は医療機器メーカーが担当し、責任範囲が異なるわけです。

OEM,部品外注を行う際に注意すべきポイント

信頼できるパートナーの選定

OEM,部品外注ともに、信頼できるパートナーの選定が最も重要です。医療分野で特に重要な品質管理の面は後述するとおり、重要な評価軸の一つですが、綿密なコミュニケーションを行えるかどうか(協力的な対応が望めるか)、技術的な信頼がおけるか(実績や提案力を評価)、も重要な評価軸となります。プロジェクトを成功させるためには、各工程での段階的なコミュニケーションが重要となり、初期相談の段階で熱心に向き合うことが重要です。

品質保証とトレーサビリティの確保

医療関係で最も重要な品質管理・品質保証に向けて、委託先メーカーで品質管理体制の充実やトレーサビリティの確保が行えるかは注意して確認すべきポイントです。初期段階の監査はもちろん、定期的に品質監査を実施し、製造プロセスが適切に管理されていることを確認します。また、サプライヤーにも言えることですが、トレーサビリティを確保するために、製造記録や検査記録を適切に管理し、必要に応じて追跡できるようにしておくことが重要です。これにより、万が一の不具合発生時にも迅速な対応が可能となり、製品の安全性を保つことができます。

綿密なコミュニケーション

”信頼できるパートナーの選定”と重なる部分も大きいですが、医療機器メーカーと委託先メーカー(サプライヤー)の間での綿密なコミュニケーションは必要不可欠です。当然のことではありますが、疑問点や懸念点の事前の解消に向けて、積極的かつ双方向的にコミュニケーションを重ねることが重要となります。特に、当社では仕様の明確化が重要であったと感じており、具体的な寸法、材料、性能要件、検査基準を事前に定め、サプライヤーに明確に伝えて頂くことがプロジェクトの成功のカギになります。

医療機器製造における、精密機械加工の重要性

ここからは、当社の生業でもある金属加工に焦点を当てて、医療機器の製造における精密機械加工を適用するメリットや重要性に関して解説します。
精密機械加工は、医療機器の製造において欠かせない要素です。高い精度と信頼性が求められる医療機器において、精密機械加工の技術は不可欠です。なぜ高精度な部品が求められるのか、また金属加工技術の現状とその適用例について詳しく解説します。

高精度な部品が求められる理由

医療機器の製造において、高精度な部品が求められる理由は、その使用環境と目的に深く関連しています。医療機器は、人命に直接関わるものであり、その精度や信頼性が治療の成功率に直結します。例えば、外科用機器や診断装置は、ミリメートル以下の精度で動作する必要があり、微細な誤差でも重大な影響を及ぼす可能性があります。また、医療機器は厳しい衛生基準を満たす必要があるケースも多く、高精度な加工はこれらの基準を達成するために不可欠です。さらに、部品の互換性や交換のしやすさも高精度な加工によって保証されます。これにより、メンテナンスが容易になり、機器の寿命が延びるとともに、コストの削減にも繋がります。

金属加工の最新技術とその適用例

近年、精密機械加工における技術革新が進み、医療機器製造においても多くの最新技術が適用されています。例えば、5軸マシニングセンタは、複雑な形状の部品を高精度で加工することが可能です。この技術により、従来の加工方法では困難だった形状や構造の部品が製造可能となり、医療機器の設計自由度が飛躍的に向上しました。また、非常に細かい部品の加工や微細な穴あけも可能となっています。これにより、例えばカテーテルのような微細な医療機器部品の製造が容易になりました。精密機械加工技術の進化は、複雑な内部構造を持つ部品の製造を可能にし、カスタマイズされた医療機器の製造にも適しており、医療機器の性能向上や新しい治療法の開発に大きく貢献しています。

医療機器業界における当社の実績と強み

治工具設計・精密機械加工センターを運営する弊社、株式会社大塚製作所は部品製作に用いられる治工具の製作を75年以上専門に行ってきた金属加工メーカーです。治工具は部品加工の品質向上や生産性向上のために用いられ、治工具の品質が最終製品の品質を大きく左右します。したがって、治工具の製作には製品加工より一段階上の精度を求められ、精密機械加工において万全な生産設備と高い技術力を有しております。また、治工具に限らず精密機械加工を適用した機械部品の製造実績も豊富であり、当社は医療機器の部品加工を承っており、高品質な製品を提供しております。弊社の加工技術の強みを活かせる製品のサイズは手のひらサイズから、□500mm(500角)程度で、医療分野の製品を考慮すると比較的大きいサイズとなりますが、検査装置に用いる精密部品の製造実績がございます。本節では、当社が医療機器メーカーでの部品製作、受託製造において提供可能な付加価値について説明させて頂きます。

マイクロオーダーの精度に対応する高い精密機械加工技術

当社の主力設備は治工具製作に最適なジグボーラーと、表面品質と寸法精度を極限まで高めることができるバリエーション豊かな研削盤です。ジグボーラーは非常に高い位置決め精度を持ち、穴加工が得意な機械ですが複雑形状の加工への適用においても高い能力を発揮します。前述した5軸マシニングセンタとの比較を考えた際、ジグボーラーは人手による操作が多いため、加工時間や量産の際にはマシニングセンタのメリットは大きいですが、精度面におけるジグボーラーの機能性は非常に高く、最新鋭のマシニングセンタと比較しても、ジグボーラーに軍配が上がりますまた、当社は豊富な研削盤を取り揃えているため、製品の表面品質と寸法精度を高めることができ、医療機器で重要となる衛生面の向上や長寿命化に大きく活用できます。最終的な製品の品質については、5μmの精度まで対応が可能であり、外科用機器や診断装置に求められる精度に十分な対応が可能です。

最新鋭の検査機器を利用した高い品質保証体制とトレーサビリティの確保

当社は、最新鋭のCNC三次元測定機をはじめとした様々な測定器を利用し、高品質な製品の提供をお約束しております。これも当社が長年治工具製作の専門メーカーとして製品品質を追求してきた賜物であり、豊富な経験と高度なノウハウが蓄積されております。品質マネジメントにおいては、ISO9001(品質マネジメントシステム)の認証を取得しており、徹底した管理を実施しております。また、医療業界で重要視されるトレーサビリティの確保に関して、業界関わらず製造記録や検査記録の管理は当社でシステム化した上で徹底しており、問題発生時には速やかに対応することが可能です。

治工具設計/製作の高いノウハウの医療分野への展開

当社は治工具製作の専門メーカーであり、部品加工の品質と生産効率の向上に用いることが可能です。したがって、医療機器の部品加工において、治工具設計/製作まで併せた提案が可能であり、生産効率の大幅な改善による納期の短縮と部品供給の安定化や、品質の改善と均一化などのメリットの提供が可能です。もちろん、部品加工に関しては他社さんで、医療機器の製造に用いられる治工具の設計・製作のみのご依頼に関しても対応いたします。

以下の製作事例は、当社で製作した精密機械加工向けの治具システムです。
この治具は、半導体製造装置向けの部品加工に用いられる治具となりますが、大幅な工数短縮を実現可能な上で、部品加工時の位置決め精度を±0.02mm以内に抑えられることができ、医療機器部品などの精密機械加工が求められる製品の製造にも適用が可能です。
このほかにも、精密加工に活用可能な治工具の製作実績は豊富にございますので、お困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

製作事例
精密機械加工向け 3Rデルフィンクランプ

省力化機械の設計/製作実績から、多角的な提案も可能

当社は金属加工がメインとなりますが、製造現場向けの省力化機械の設計・製造も行っております。したがって、当社はシステム開発や電子回路設計等のノウハウもあり、場合によっては医療機器の開発に対しても、金属加工のノウハウと乗じた多角的な提案が可能となります。

医療機器の部品製作・受託製造(OEM)について、まとめ

本記事では、医療機器の受託製造(OEM)や部品製作に関するメリットや流れを解説し、さらに、当社の生業である精密機械加工(金属加工)の視点での必要性やメリットに関して解説しました。

医療の発展に対する需要は国内外で今後さらに高まっていくこととなり、AIなどの最新の技術を集結した医療機器・デバイスが台頭しております。競争力の高い製品の開発、医療機器の技術の高度化を実現するためには、併走する形で技術発展が進んでいる、異分野技術の取り入れは重要な取組の一つで、日本においても、医理連携や医工連携などの取り組みを推進しています。

当社(株式会社大塚製作所)は、治工具専門メーカーとして75年以上、製品より一段上の高い品質を追求し、事業を続けてまいりました。当社の精密機械加工技術は、高い精度・品質が求められる医療機器業界向けの部品加工においても、高い能力を発揮し、技術高度化の一翼を担える自信がございます。
医療機器の開発、製造において、部品加工に関するお困りごとや用事がございましたら、お気軽にご相談ください。

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